開催終了!
決勝戦レポートは
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ライちゃん

  • 共同通信社杯とは

     共同通信社杯競輪の母体は1988年10月18日に平塚競輪場で一発勝負の競走として開催された「ルビーカップレース」です。その後、1996年に4日制の準特別競輪に姿を改め、2001年の制度改革を受けてGⅡグレードの位置づけを与えられました。その後、「春一番」、「秋本番」の年2回開催、2014年からは従来通り年1回の開催へと変貌を遂げて今に至ります。

    レースの特徴

     一発勝負だった頃とはレースの性格も大きく変化を遂げました。「春一番」で導入され好評を博した若手選手(今大会は94期~107期までの各期卒業の選手のうち、平均競走得点上位者から順次25名)に対して優先的に出場権が与えられる選考基準と、全員が一次予選からスタート、なおかつ選考順位によって自動的にレースの組み合わせが決まる「自動番組」制度が取り入れられています。これによりS級S班のトップ選手と、これからS級上位での戦いに臨むヤングパワーが初日から直接対決するなど、他のビッグレースとは一線を画した斬新なレースが見られることとなります。

    富山競輪場でのビッグレース

     2006年のふるさとダービー(優勝:平原康多)以来、富山競輪場では10年ぶりのビッグレース開催となります。昨年のGⅢでは南修二選手が優勝し、388,950円(三連単)の高額配当となりました。

共同通信社杯プレイバックplayback

  • 第31回大会
  • 第30回大会
  • 第29回大会
  • 第28回大会
  • 第27回大会

第31回 防府競輪場 2015年4月29日

神山雄一郎(栃木)

神山雄一郎が6度目の共同杯V

 盟友、武田豊樹がまさかの一次予選敗退。関東勢にとっては、予期せぬ幕開けだった。準決でタッグを組んだ平原康多とのそろってのファイナル進出もかなわず、神山雄一郎ただひとりが関東で優出。苦境に立たされた決勝だったが、競輪の女神に愛され続ける男に、またしても女神は微笑んだ。
「もう必死でした。(稲垣裕之に)離れて、入られるわけにはいかないし。そこだけは稲垣君に食らいつく気持ちでずっと走ってました」
京都コンビの後ろを選択した神山。その狙いに狂いはなかった。山田久徳が迷いなく風を切って逃げると、今度は最終ホーム過ぎに稲垣が番手まくり。が、すかさず新田祐大が襲い掛かった。
「(新田のまくりを)止められた感じはあったけど。でも…、動けなくて。稲垣に申し訳ないなっていう気持ちが強いです」
 新田がまくりでグングンと迫り来ると稲垣は、最終4コーナーで新田を外に振ってブロック。神山は瞬時の判断で、空いたコースを踏んでゴール勝負。最短距離を踏んだ神山が、新田の猛追を退けVロードを駆け抜けた。
「もう自分もいっぱいだったんで、外にも持ち出せないし。気づいたら稲垣が自分でブロックをさせる形になってしまっていた。自分はもう自然にまっすぐ入っていっただけです」
 地区は違いながらも前で奮闘した稲垣を気遣いながら、神山は言葉を選び振り返る。47歳でのビッグ制覇は最年長記録。追い込みとしての理想を飽くなき向上心で追求する。
「自転車が好きなのは当然なんですけど、競輪っていう種目が好きなんで。あとは競輪は戦法がたくさんある。一から出直して追い込みになったっていうことで、自分が新人のつもりになっちゃった。そこからまた少しずつ頑張ってきたっていうことで、モチベーションはまだ新人のつもりでいたんで。(原動力は)それだと思います。一戦、一戦、自分の求めているレースの形を追求していくだけです。そのなかで結果が出てくれれば最高なんで、そういう気持ちで一戦、一戦続けていきたいです」
 過去の栄光にもおごることないグランドスラマーは、これからも進化の歩みを止めない。
 まくった新田祐大は、惜しくも準Vで大会連覇を逃した。
「位置的には良かったからあとは自分の力を出し切れればと思ってたけど、翻ろうされてしまいましたね。稲垣さんがもってこなければ乗り越えられると思っていたけど、神山さんが内を狙っているのは、わかっていたので…。この悔しさを次のレースで返せれば」
 直線で内、外を行かれてしまった稲垣裕之は3着に敗れた。
「あれだけ山田が行ってくれて優勝しか考えてませんでした。あのブロックがないと新田には行かれてた。ラインから優勝者を出したのは山田の先行力あってこそ。近畿の存在感は見せられたかなと」
 赤板前で新田との連結が外れてしまった山崎芳仁だったが、最終ホームで再度ドッキング。新田のまくりに続いたが4着まで。
「まさか新田があそこでしゃくるとは思わなかった。新田が優勝するように走ってくれればと思ってたし、あそこはしゃくる必要なかったですね。もったいない」
 渡部哲男は久々のビッグ決勝戦をこう振り返る。
「最後はあそこしかないと思ったけど、もうひとつ内やったね。そしたら3着ぐらいあったかも」

レースプレイバック

 飛び出した新田祐大が前受けで山崎芳仁―大槻寛徳、中団に山田久徳―稲垣裕之―神山雄一郎、原田研太朗―渡部哲男―萩原孝之で周回を重ねる。
 青板ホーム過ぎから動いた原田に中団から山田も応戦。青板バックからの激しいモガき合いを制して山田が主導権を争う。中団で立て直そうとする四国勢の内をすくって新田が4番手を奪うが、新田の動きに山崎が続けず渡部が原田を新田後位に迎え入れる。打鐘から山田がさらにペースを上げると原田は徐々に口が空き、打鐘から追い上げた山崎が再び新田とドッキング。ホーム過ぎからは稲垣が後続の仕掛けを待たずに番手まくりを打つが、新田も2コーナー手前から仕掛けて3コーナーからは稲垣、新田の意地のぶつかり合いに。4コーナーで稲垣が自ら新田をけん制すると、空いたインコースをすかさず神山が突く。4コーナー山下ろしを使って新田も最後の力を振りしぼるが、内から最短ルートをとった神山が優勝。2着には新田、内、外を行かれた稲垣は3着に敗れた。

車番 選手名 年齢 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
1 神山雄一郎 47 栃木 61 SS 9.7
3 新田 祐大 29 福島 90 S1 1/4輪 9.7
2 稲垣 裕之 37 京都 86 S1 1/2身 9.9 B
9 山崎 芳仁 35 福島 88 S1 1/4輪 9.6
4 大槻 寛徳 35 宮城 85 S1 1/8輪 9.5
7 渡部 哲男 35 愛媛 84 S1 1輪 9.4
8 萩原 孝之 37 静岡 80 S1 1身 9.4
5 原田研太朗 24 徳島 98 S1 大差 10.7
6 山田 久徳 27 京都 93 S1 大差 14.5 H

第30回 伊東温泉競輪場 2014年4月29日

新田祐大(福島)

新田祐大が涙のV

「競輪が大好きです」。心の底からそう感じたシリーズはこれまでなかっただろう。一連の騒動の責任をとる形で5月から各選手が自粛欠場に入るが、新田祐大にとっても今節は特別なシリーズ。大事な一戦を制し、大勢のファンにその思いを告げると人目をはばかる事なく思い切り泣きじゃくった。
 「ただ一言、嬉しい気持ちが強かったです。僕の前を走る選手は全員強いので不安でしたけど、前の選手を一人でも多く交わして、後ろのラインの為にも僕が前に出て風を斬らないとと思って。先頭に立つまではドキドキしてました。特別の単発レースは優勝したことがあるけど、単発レースと違って4日制や6日制は体力の限り戦わなければいけない難しさがある。優勝できたことは心の底から嬉しいです」
 今後は充電期間に入るが、復帰後も再びこの舞台で活躍すべく、今から力強く宣言する。
 「もう1月ぐらいまでプランを考えてます。うまく行くかは分からないけど、戻ってきたときには今まで以上のハイパフォーマンスを出して、他を圧倒するようなレースができるように。ずっと応援してくださったファンの方には本当に感謝しきれないぐらい感謝しています。また新田祐大が見れて良かったって思えるようなレースができるように頑張ってきたいと思ってます」
 準決勝に続き成田にピタリとマークした成田和也。交わせなかったが、福島ワンツーの結果に納得の表情。
 「新田君と2人で気持ちのこもったレースができたと思う。みんな普段以上の思いがあったと思うし、負けられないくらいの気持ちで臨んだつもり。(選手会騒動で)応援してもらってる人やいろんな人に迷惑をかけたと思う。今回もたくさんのファンの人に声援を送ってもらったんで、それを忘れないように過ごしたいと思います」
 深谷が不発に終わると、岩津裕介は内に切り込んで稲垣の番手を奪う。福島コンビのまくりには対応できなかったが、俊敏な動きで3着に入った。
 「深谷は打鐘前からスピードが合ってたし、何とか出切ってくれと思ってた。内に切り込んでからは稲垣さんに頼るしかなかったけど、深谷を合わすのに全力だったんでしょうね。自分としてはあれが精一杯。自分のレースはできたし、今後につながれば」
 無警戒だった内をすくわれた村上義弘は何とか立て直したが4着までが精一杯。
 「勝負としては残念でしたけど、自分たちのレースをするという点では一切迷いがなかったですし、自分たちが全力を出し切る真剣勝負はできたと思う。(1年の自粛に入るが)この後に関しては今は何も考えてません」
 稲垣との真っ向勝負を選んだ深谷知広は淡々とレースを振り返る。
 「今日は完全に自分の力不足。自分で作戦を立てて通用する相手ではないんで、とりあえず前受けからと思ってた。今日は行けるところから思い切って行こうと、それしか考えてなかった。また、みんな帰ってきたときに力勝負できるように、練習して強くなりたいです」
 単騎の平原康多は勝負どころで岩津に下りられ万事休す。
 「車間を切って体勢を整えたけど、逆にそれがね。単騎だし、いいときもあれば悪いときもある。今日は悪いほうに出てしまいました。最後は外を踏んで終わりたかったですね。悔しい思いを胸にまた練習します」

レースプレイバック

 号砲で深谷が飛び出し、正攻法に構える。深谷知広に岩津裕介-小倉竜二の中四国コンビが付けて前団、稲垣裕之-村上義弘-稲川翔の近畿勢で中団を形成、単騎の平原康多が続き、新田祐第-成田和也の福島コンビが後攻めの形で隊列は落ち着く。
 青板周回の1コーナーから新田が上昇。3コーナーで誘導員を交わして先頭に立つ。すかさずその上を稲垣が叩いて赤板前から先行態勢に入る。単騎の平原が近畿勢を追って4番手、この後ろは新田と深谷で併走になる。稲垣がそのままペースを上げて全開で逃げる中、外併走を嫌った深谷が打鐘から強引に巻き返す。最終ホーム手前で稲川が深谷をブロックすると、深谷マークの岩津は内に斬り込む。さらに車間を空けていた村上のけん制で深谷は後退する。村上の内をすくった岩津が番手に割り込むが、最終1コーナーから車を外に持ち出した新田が前団のもつれを鮮やかなスピードでまくり切った。懸命に続いた成田が2着で福島ワンツー決着となった。福島コンビに合わせて番手から踏み込んだ岩津が3着に入った。

車番 選手名 年齢 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
9 新田 祐大 28 福島 90 SS 9.4 B
3 成田 和也 35 福島 88 SS 1輪 9.3
7 岩津 裕介 32 岡山 87 S1 2身 9.5
2 村上 義弘 39 京都 73 SS 1身1/2 9.5
6 稲川 翔 29 大阪 90 S1 3/4輪 9.4
8 小倉 竜二 38 徳島 77 S1 1身 9.6
5 平原 康多 31 埼玉 87 SS 4身 10.0
4 稲垣 裕之 36 京都 86 S1 3身 10.5 H
1 深谷 知広 24 愛知 96 SS 大差

第29回 福井競輪場 2013年4月29日

長塚智広(茨城)

長塚智広が2年ぶりのビッグV

最大の目標である武田豊樹を準決勝で失ったが、決勝は迷うことなく村上義弘の番手をキッパリと主張、その選択が見事に的中した。競り合った安東宏高を瞬殺すると、気迫あふれる村上にピッタリとマーク。最後は車間を空ける余裕を見せると、先頭でゴールを駆け抜けた。
 「まさか自分が優勝できると思ってませんでしたし、この優勝も全て準決勝で武田さんにお世話になりましたし、それから決勝戦は村上さんが本当に王者というか、気迫の入った走りで何としても付いていかなくてはいけないと思いましたんで、それに何とか付いていけた結果だと思います。村上さんがカマしたんですけど、そのときに素晴らしいダッシュで付いていくときにけっこう脚を消耗した感じでした。2センターで後ろを見たんですけど、そのときに誰も仕掛けてくる気配がなかったので、これは1本棒になっていると思ったんで、あとは直線に入って思い切りペダルを踏んで、村上さんとゴール勝負できればと思ってました」
 SS班で競輪界をリードする長塚だが、意外にもこれが今年初優勝。今年に入り調子が今ひとつだっただけに、喜びもひとしおだ。
 「グランプリを目標にずっとやってきて、燃え尽きたというわけではないんですけど、体調のピークがどうしてもグランプリになってしまっていたので、その後、自分の体調とそれからセッティングがあまりうまくいってなくて、それでかみ合わないということだったんですけど、昨日、東京の斎藤努さんに自転車のセッティングを出してもらって、それからずっと調子が良くて、セッティングは元に戻ったという感じ。斉藤さんのおかげです。それと、やはり後輩がずっと頑張ってきていて、牛山君と芦沢君が後輩のなかで頑張ってますし、本当に高校の頃からずっとお世話になっている十文字さんとG1、G2に来れてすごく幸せなんで、武田さんも十文字さんと自分と一緒でお世話になっているんで、こういったメンバーで茨城で盛り上がれるというのはすごく嬉しいですね。茨城は武田さんを筆頭に、関東は平原(康多)君、後閑(信一)さんもいますから、そういったメンバーで一生懸命頑張っていければと思っています」
 深谷知広は猛烈なスピードでまくり追い込んだが2着まで。
 「追い上げた時点で脚は一杯だった。バックで村上さんが踏み返しているのが見えたけど、あそこで行ってたら違ってたかも。今回は練習不足だったんで。これから練習して底上げしていかないといけない」
 岡田征陽は3着で表彰台入りも、「長塚さんが優勝してるんだから、せめて2着に入らないといけない」と悔しがる。「ジャンで少し離れてヤバいと思ったけど、ホームで追い付いた。前が掛かってたし、後ろを見たら来る感じではなかった。村上さんが強かったですね」
 神山拓弥は村上に叩かれ何もできず。力の差をまざまざと見せ付けられた。
 「あのメンバーだし、自分が逃げないとどうしようもないでしょう。中団をもつれさせようと考えてたけど、先行もできなかったし、飛び付きもできなかった。自分の自力が全く通用しなかった。帰って練習するしかないですね」
 前を任せた神山雄一郎は致し方なし。
 「相手の方が強かったですね。スピードが合ってしまって、俺も切り替えることができなかった。キツかったですね。次ですね。でも、今回は手応えをつかめたし、次に繋がる開催でした」
 飯野祐太は消極さが敗戦を招いた。
 「初手は栃木の後ろにいて、村上さんが叩いたところを自分がカマすか、まくるかしたかった。前が空いてしまったけど、深谷君を目掛けて一か八か行けばよかった」
 三宅達也は勝負所で離れて万事休す。
 「ホームで口が空いてしまったのが痛かったね。深谷の踏返しがすごい。レベルが違う。どうしようかと悩んでしまうくらいです」
 逃げた村上義弘は「深谷の力が抜けているんでああいう仕掛けになった。(近畿1人で)プレッシャーを自分に掛けて走ったし、どんな結果になっても力を出し切るレースをするだけだった。脚力不足です」と帰り支度をする。

レースプレイバック

 まず深谷知広が誘導員を追い、深谷—三宅達也で前受け。村上義弘後位を安東宏高と争う長塚智広の後ろには岡田征陽で、後ろ攻めの神山拓弥—神山雄一郎に単騎の飯野祐太が続く。3周目からは長塚が5番手に車を下げて周回は落ち着いた。
 赤板前から上昇を始めた神山拓は打鐘で先行態勢に入るが、そこをすかさず村上が叩き返す。内をすくった長塚が単独の村上マークとなり、村上はホームで出切った。村上の仕掛けに素早く反応した深谷はホームからこのラインを追うが、遅れてきた安東が邪魔になり三宅は遅れてしまう。神山拓以下はやや車間が空いて、3コーナーで前3車に追いついた深谷は4番手で脚を溜める。バックから長塚が徐々に車間を空けて後続の反撃に備える。深谷は2センター過ぎから踏み込むが、合わせて番手から踏み込んだ長塚が深谷を退けて優勝。深谷はビッグ3大会連続の決勝2着に終わった。

車番 選手名 年齢 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
3 長塚 智広 34 茨城 81 SS
11.3
2 深谷 知広 23 愛知 96 SS 1/2輪 11.0
7 岡田 征陽 33 東京 85 SS 3/4身 11.3
1 村上 義弘 38 京都 73 SS 1/2輪 11.6 HB
8 飯野 祐太 28 福島 90 S1 1/2身 11.0
4 三宅 達也 35 岡山 79 S1 2身 11.2
9 神山 雄一郎 45 栃木 61 S1 1/8輪 11.0
6 安東 宏高 31 大分 90 S1 1身1/2 11.1
5 神山 拓弥 26 栃木 91 S1 大差 13.9

第28回 名古屋競輪場 2012年4月30日

渡邉一成(福島)

渡邉一成が念願のビッグ初V

 波乱続きの今開催を象徴するような出来事が決勝でも発生。前受けの脇本雄太が、誘導員と接触して落車。これでレースの流れが一変。北日本88期トリオの絆から、チャンスを生かしたのは渡邉一成だった。
 「ゴールした瞬間は嬉しかったのと同時に、(佐藤)友和さんに感謝の気持ちで一杯。G1、G2というのは獲ることが難しいと思うので、こうして獲れたことがすごく嬉しい。1センターで内に一瞬入って、前と接触しちゃうんじゃないかと焦ってしまい、そこから無理矢理まくりに出て行ったんだけど、ゴールするまでは(優勝したことは)分からなかった」とビッグ初Vへの軌跡を振り返る。
 5月1日にロンドン五輪の日本代表発表へ向け、存在を大きくアピールしたのは間違いないだろう。
 「(代表に選ばれたら)地元福島の想いも皆背負って頑張りたい。今の日本は強いし、メダルを狙えるチームだと思う。皆で一丸となって頑張る」と今後は日の丸を背負っての活躍を誓う。
 成田和也がキッチリと流れ込み福島でワンツー。 「後ろから南(修二)君の踏む気配がしたんで、中を割られないように気を付けていた。その分前に届かなかったけど、同県ワンツーという形で締められて良かったと思う」と話す。
 渡邉優勝の立役者となった佐藤友和は、淡々とレースを振り返る。
 「脇本(雄太)君は相当こちらを意識していたし、突っ張るつもりだったみたい。彼が落車してからは自分のタイミングでとも思ったけど、後ろには同期2人もいたんで早めでも行こうと。万全ではない状態の中でやる事はやった感じだし、結果的にはラインから優勝者を出せたんで」
 稲垣裕之は目標が落車というハプニングで、算段がもろくも崩れ去った。
 「作戦としては前に全て任せていた。前がいなくなったけど、思った程は慌てていなかった。どうしようかと考えて北勢を追って車間を詰めたけど、追いかけるのに脚を使ってしまった。どんな展開にしてもお客さんに迷惑をかけてしまったのは残念で申し訳ない」
 当日にギアを3・85から4回転に上げて突っ込みを図った南修二が3着。
 「前受けは作戦のひとつだったが、まさか先頭が落車とは…。稲垣(裕之)さんも前を追うのに脚を使ったんでしょう。最後は内しかないと思って踏んだけどあそこまでだった」。
 3月のダービーに続き連続でビッグ決勝に進んだ鈴木裕だったが、大舞台のハプニングで何もできず。 「ああいうレースは初めてだった。ハイペースだったし、前を追っていくので精一杯だった。仕方ないけど、また経験を積んで頑張っていくだけ」と語る。
 自身初となる失格を、G2決勝戦で喫した脇本雄太は落胆の色を隠せない。
 「焦っていたし、気持ちが空回りしていて…。近畿の皆さんやその他の選手、ファンの方に迷惑をかけて申し訳ありませんでした」

レースプレイバック

 号砲で5枠の2人が勢いよく飛び出すと、南修二が正攻法を確保。2番手を望月永悟が取り切ると、周回は脇本雄太―稲垣裕之―南―柴崎俊光―鈴木裕―望月―佐藤友和―渡邉一成―成田和也の並びで落ち着く。
 青板周回でアクシデントは起きた。別線の出方を確認しようとした脇本が誘導員と接触して落車。そのまま誘導員も退避し、2周半を残して稲垣が隊列の先頭になってしまう。後ろの動きを見ながら仕掛けのタイミングを待つ稲垣を6番手から佐藤が一気に叩いて赤板過ぎから主導権。やや車間が空いた4番手で稲垣が追うと、南関ラインは7番手に置かれてしまう。隊列は変わらず最終ホームを通過。佐藤が失速したと見るや、2コーナーから迷わず渡邉が番手まくり。そのまま後続の追撃を振り切り、ビッグ初優勝を飾る。2着には続いた成田が、直線中を割った南が3着に食い込んだ。

車番 選手名 年齢 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
5 渡邉 一成 28 福島 88 S1 11.6 B
2 成田 和也 33 福島 88 SS 1輪 11.6
7 南 修二 30 大阪 88 S1 1/2身 11.3
3 稲垣 裕之 34 京都 86 S1 1/2身 11.5
8 柴崎 俊光 27 三重 91 S2 3/4身 11.4
4 鈴木 裕 27 千葉 92 S1 1身 11.3
6 望月 永悟 35 静岡 77 S1 2身 11.4
9 佐藤 友和 29 岩手 88 SS 大差 H
1 脇本 雄太 23 福井 94 S1

第27回 松阪競輪場 2011年10月10日

小野俊之(大分)

小野俊之が7年ぶりのビッグV

「自信はある。優勝してまたここで会いましょう」と、決勝の共同会見で公言した小野俊之。男の言葉に二言はなく、まさに有言実行の走りで優勝して見せた。
  「100%自信があったけど、勝負事だから終わってみないと分からないけど、今日は走る直前まで自信を持ってました。貴久のおかげでVロードが開きましたね。体が斜めになりながらコースに入って、立て直してから4コーナーで踏み込んだけど、久しぶりの決勝だったんであまり車が伸びなかった。でも、浅井を抜けば優勝と分かったから、最後は(小倉)竜二の真似をしてハンドルを投げました。抜いたとは思ったけど、確定で分かりました」
  04年のグランプリを優勝した後はG1優出もあったが、伸び脚を欠くことも多くここ数年は低迷が続いていた。しかし、九州の若手の台頭とともに自身も意識変化。そしてついに今回、復活のVに繋がった。
  「僕が付くときは若手はいつも真剣に走ってくれるし、自分もしっかりせんと若手は付いてこないんで。だから自分が頑張らないとと思ってます」
  次のビッグレース・競輪祭も、このままの勢いで挑む。
  「来年はG1を獲ると昨日言ったけど、せっかく地元地区でやるし、頭の中はもう競輪祭の優勝しかない。今は自転車と体が一心同体になっている。もう一回男にならんと。とにかくもう一回ね」
 浅井康太はタイヤ差交わされ地元優勝ならず。
  「武田さんが突っ張るとは思わなかった。3コーナーから深谷の内を行くしかなかったけど、ゴールは抜かれたと思った。悔しいけど、最後はゴール勝負できたんでそれだけは良かった。今回は地元で色んなプレッシャーがあって体が動かなかった。でも、こういう経験をして勉強になりました」
  松岡貴久は絶好の展開となったが、最後はあおりを受けて伸びを欠いた。
  「今日が一番軽かったんですけどね。今日は武田さんが突っ張る予感がしたし、もつれると思ったから(深谷ラインに)付いていかなかった。2コーナー、4コーナーとあおりを受けながらの仕掛けだったし、まさか武田さんが持ってくるとは思わなかった」
  武田豊樹は「本能で」突っ張り先行を試みたが。
  「今日は先行して3着以内に入れればと。グランプリで戦うメンバーだし、競輪は燃え上がるものがあるんでね。でも先行は苦しいね」
  突っ張られたものの、深谷知広は「ラインが2車だし、押えても松岡さんが飛んでくるし、斬れないとこうなるし。弱気になってしまった。ああなってしまったし、とにかく行ける所まで行って、あとは浅井さんに行ってもらおうと。いい勉強になったし、次に繋がると思います。武田さんと力勝負ができたし、楽しかったです」と清々しい表情で話した。
  友定祐己は「失敗した!」と悔やむ。「深谷が行ったときに浅井が離れたのが分かったけど、深谷の出が悪かったんで見てしまった。すぐに切り替えればよかったね。悔いだけは残さないようにと思ってたんだけど…」。

レースプレイバック

 号砲で飯嶋則之が勢い良く飛び出し、目標の武田豊樹を迎え入れる。隊列は武田―飯嶋―岡田征陽で前団、中団に友定祐己―岡部芳幸、松岡貴久―小野俊之のラインが入り、深谷知広―浅井康太が後攻めの形で落ち着く。
  赤板から深谷がゆっくりと上昇。前受けの武田はこれを突っ張り、打鐘から壮絶なもがき合いになる。武田は深谷を出させず、ハイペースで逃げていく。後方で動かず脚を溜めていた松岡は2コーナーからまくり発進。好スピードで前団に迫る。終始、外に浮いた深谷は不発。最終3コーナーで浅井がその後ろから自力で踏み上げる。浅井、松岡、小野の3人で直線は激しい攻防。松岡のスピードをもらって鋭く伸びた小野が浅井をゴール寸前で捕らえて久々のビッグVを飾った。地元の浅井はタイヤ差の2着。松岡が3着に入った。

車番 選手名 年齢 府県 期別 級班 着差 上り 決まり手 H/B
4 小野 俊之 35 大分 77 S1 11.0
5 浅井 康太 27 三重 90 S1 タイヤ 11.3
3 松岡 貴久 27 熊本 90 S1 1輪 11.1
7 武田 豊樹 37 茨城 88 SS 3/4身 11.7 HB
8 岡田 征陽 31 東京 85 S1 1/2身 11.5
9 岡部 芳幸 41 福島 66 S1 1/4輪 11.0
2 飯嶋 則之 32 栃木 81 S1 1身 11.7
6 友定 祐己 32 岡山 82 S1 1身 11.5
1 深谷 知広 21 愛知 96 S1 大差 12.7